“サンルーム”
太陽の Sun とフランス語で血を意味する sang、そして聖なる Saint の意味に象徴 された水耕栽培の野菜の温室と水槽をチューブで繋げて水を循環させる装置であ るサンルームは、魚と植物、そして微生物の循環による人工的なシステムです。 電力に依存したこの維持装置はそのエネルギーが続く限り環境を保ち続けます。 その中で植物や魚やバクテリアが領土を広げ押しやられと言った複雑な力の争い が日々行われていきますが、その閉じられた空間はわたしの生まれた東京の中心、 ロランバルドが空虚な中心と評した隠喩でもあるのです。ある時期までゴルフ場として使われていた吹上御苑は突如として人の手を離れます。それから約 100 年。濠によって東京という都市から隔絶されたこの土地はあ る意味完成された生態系を形成し、豊かな生態系を築いてきました。そしてその 鬱蒼とした森の中には人工的に延命を施されている象徴的存在があります。その 守られた純血はアメリカから送られた養殖用魚、ブルーギルの繁栄とは裏腹に近 年常に絶滅の危機に瀕しています。 さあ、今日も美味しい野菜が採れました。食卓を囲み食事をしようじゃないですか。“sans room”
市川大翔との共作、『悲しき熱帯』の冒頭から引用した sans の部屋というネオン 作品。”Le monde a commencé sans l'homme et s'achèvera sans lui.”
『悲しき熱帯』の冒頭の一節をルージュの伝言に託した。“Red&Blue”
学名 Nipponia nippon と名付けられたこの鳥は、「絶滅のおそれのある野生動植 物の種の保存に関する法律」( 平成 4 年法律第 75 号) 第一条により、以下のように保護されている。 野生生物が生態系の重要な構成要素であるだけでなく、自然環境の重要な一部と して人類の豊かな生活に欠かすことのできないものであることに鑑み、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることにより、生物の多様性を確保するとともに、良好な自然環境を保全し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な 生活の確保に寄与することを目的とする。 良好な自然環境、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保のため、nippon の名の下に延命された DNA はそもそも中国由来の鴇のもの。 一方皇居の堀の魚類個体数 50 パーセントを占めるブルーギルは DNA を辿ると、 かつてシカゴの水族館から当時の皇太子、明仁親王に送られた 18 匹の個体に行 き着くと言います。そもそも日本の生態系に組み込まれていなかったブルーギル は特定外来生物に指定され、外来種回収ボックスなどの設置により駆除の対象に なっています。 純血、外来種、大量虐殺、人工繁殖... 多くの矛盾を孕むこれらの種の行く末と、 日本の国家延命、それらを赤と青の対比に準えて作品を作ります。“thumbed new community - all along pachinko machine -”
宮崎悠と渡辺志桜里による音源。日々やりとりしているテーマを元にハードコア バンド満州候補者のドラム宮崎悠に作詞作曲を依頼した。“Emoticon”
スマイル 0 円。マクドナルドジャパンが掲げたこの標語は日本独自の質の高いサービスを歌ったものだが、無償労働、とりわけ家庭や女性に振り分けられる暗黙の労働の象徴として、日本で一番の笑顔的無性労働者の口元に注目して作品を作りました。